日吉台三番町の家

西に眺望を持つ土地

夫婦+犬一匹の建築主が、高槻市郊外の丘陵地で、マンション住まいを続けながら、ようやく見つけたのは、大きな屋敷が並ぶ街区の80坪程の敷地でした。
北に向かって大きなカーブを描きながら緩い登り勾配となっている前面道路は、幹線道路で、交通量は思ったよりも多く、また、通常、主庭を配置することが多い南側は、RC3階建のボリュームがあり、南に窓を開けても、ほとんど空が見えない状態です。
この敷地の最大の特徴は、西側の眺望にあり、隣地は4~5mの雛壇状に下がっており、その屋並み越しに遠く北摂の山並み、市街地が一望できます。
この眺望は、将来的にも保証されており、植栽やパーゴラで西日を調節することを前提にして、建物を西側に向けて開放できるように計画しました。

ファザードと内部空間

建築主のご要望では、平屋建+ロフト程度の規模になり、大きな家の並ぶこの街道の家並みの中に均衡させるには、やはり工夫が必要になってきます。
間口が広く大きくカーブした道路境界線をそのままに生かし、建物と一体化した3、2mの高さの研ぎ出しCB造+RCの壁を敷地の端から端までいっぱいに築き、その内部に駐車場や中庭を介在させながら、ロフトを包みこんだ曲線の屋根をもつ木造家屋をくっつけて、街道の家並みに馴染ませました。
外部を遮断する型枠CB造の堅個な障壁は、閉鎖一方ではなく、素材自体の色の差によるストライプ柄や、そこに開けた穴のリズム感、間から覗く緑などにより、街並みに対してあくまでも威圧的にならないように配慮しています。

バードウォッチング

建築主の最近の趣味は、バードウォッチング。西側のデッキにひまわりの種を置いておくと、実にいろんな鳥が訪れて来るそうです。
人間にとって良い眺望であるこの西側の庭は、まさに鳥たちにとっても、格好の休息場所に見えるのでしょうが、人と自然の交流の場としても機能しています。
日曜日の朝はこのデッキで朝食をとるようにしているとのことで、新たな生活の楽しみが出来たようです。